第2章 陰陽(夏油傑)※
そして彼女の柔らかい身体をぎゅっと抱きしめてこう言った。
「あんなことを言って、私にあんなことをさせて…
それで出て行くなんてできるわけないよ。」
夢実は眉をハの字にさせ顔を真っ赤にしこう話した。
『…でも、あれは私が勝手に言ったことで…してもらっただけなので…
もし責任とか感じているのであれば、全然気にしなくていいですし…
私なんかのことはもう忘れてもらえれば……』
私ははぁと溜め息をついた。
この娘はなんて馬鹿なんだ…
「夢実はこの関係をワンナイト程度に思っていたってことかい?」
『………』
…図星か。
私は再び大きな溜め息をついた。
「私は好きでもない相手とこんなことしない。
…とっくに夢実のことが好きなんだよ。」
『えっ……!!!
いや、で、でも私こんな不細工ですし…
夏油さんにはもっとお似合いの素敵な方が…!
もし同情とかしてるならそんなのしなくていいです…!』
「…はぁ。
さっきまでの威勢はどこに行ったんだ…」
私は夢実のお腹に触れた。
「もし、身籠ってたらどうするんだい?」
『…安全日なので、大丈夫です…』
「そんなの、100%じゃないでしょう。」
『…責任とか、そういうの気にしなくて大丈夫ですから…!
私がお願いしたことなのでっ!』
「そうじゃない、私は夢実と一緒にいたいんだ。」
少し強めの口調で言ったため夢実は少し驚いている。
「夢実は自身に対して悲観的すぎる。
私は君が素敵だと思う、だから一緒にいたい。
それでいいじゃないか。」
『…でも……』
「好きだ。愛しくて仕方ない。
大切にするし、守るから…一緒にいてくれないか。」
夢実の瞳が濡れて光っていた。
「夢実…愛してる。」
『…私も、愛してます……』
終