第2章 陰陽(夏油傑)※
『え……』
「は、なんだお前…!?」
私は貴様より10cm以上身長高いし体も大きいからな…
話しを聞いていた限りかなりのクズっぷりだ。
「私は彼女の恋人だが?
君は彼女の何なんだ?」
「は…!?
おい、夢実!恋人ってなんだよ!?
お前に彼氏なんてできる訳ねぇだろ!?」
ほう、彼女の名前は夢実というのか…
『えーっと…これは、その、、、』
夢実は口をモゴモゴさせ返答に困っている様子だった。
後ろ姿だったが耳を真っ赤にさせている。
にしても、このクソ猿はさっきから黙って聞いてれば腹が立つことばかり言っている。
「…夢実?
こんな猿早く追い出しなよ?
それともストーカーなら警察呼ぼうか?」
『あ、いや…、大丈夫です!
追い出します!!
…もう、二度と来んな、このクソ猿!!』
「はぁ?お前ふざけんな……」
まだ何か言いたそうなクソ猿を睨みながら俺は言った。
「…君、死にたいの?」
そう言うとクソ猿は素早く帰って行った。
「…大丈夫?」
ふと夢実の方を見ると涙目になっていた。
『お兄さんの前でこんな見苦しいもの、見せてしまってすみませんでした…
初対面なのに…
助けてくれてありがとうございました…!』
「いや、助けてくれてありがとうはこっちのセリフ。
あと私の名は夏油傑だ。」
『え?あ…夏…油さん……』
「いろいろ話したいことはあるんだが…
君はあの猿男とはどのような関係なんだ?」
『一応…元カレ…です。
ずっと浮気されてたのは知ってたんですけど…ズルズル続いちゃって、実際別れたのは先月なんです…
その後もこの部屋貸してくれって何度か家に来て…その度家にあげてたんです。
ほんと、バカですよね…』
夢実は苦笑しながらそう話した。