第2章 陰陽(夏油傑)※
私は今まで女性に不自由したことがなかった。
高専と、親友だった悟と離反してからは色んな女性と関係を持ってきた。
私が誘わなくても女性の方からやってくるー…
彼女もきっと同じだろう。
見ず知らずの男を家にあげるなんて本当に馬鹿げてる。
…一回ヤッて満足するのか…
見た感じモテる感じは無さそうだが色白でフワッとした感じ、あのプクっとした唇…
好みのタイプではないが何処となく色気がある。
そんなにがっついてくるタイプでもなさそうだし…って私は何を考えているんだ。
「あがりました…ありがとう。」
『はーい…って、え!!』
きちんと素顔見てなかったからか…イケメン過ぎて驚いたか?
…悟が言いそうなことだな。
お兄さんかっこいいね、抱いて?とか…?
今までの経験上言うことなんて決まってるー…
『お兄さん、髪の毛ちゃんとタオルで拭かないとダメじゃないですか!
折角お風呂で温まったのにまた冷えちゃう…』
「…ヤらないんですか?」
『?何をですか…?
あ、ドライヤー準備してくるのでここで温まっててください!』
「…そうではなく、私と……』
ピンポーン
そのときインターホンがなった。
モニターを覗いたとき彼女の顔から笑顔が消えた。
『…お兄さん、来客なのでちょっとドライヤーしててください。』
そう言って再び洗面所まで案内された。
暫くすると彼女と来客であろう人物の声がする。
口論でもしているのか、彼女の口調が荒い。
私は扉の隙間から玄関を覗いた。
『もういい加減にして!
家にはあげないし泊まらせもしない!』
「まだあのときのこと怒ってるのか?
悪かったって…
もうしないからやり直そうぜ。」
『あんた達が私の悪口言ってる音声だって聞いたんだからね!
好き放題言ってたじゃない。
とにかくもう帰って、二度と来ないで!』
「ったくグチグチうるせぇな!
俺みたいな男がお前みたいなデブ女の相手してやっただけでも感謝しろ!
ホラ、今度こそ抱いてやるから中入るぞ…」
「彼女に何か用ですか?」
私は洗面所から出て彼女を後ろから抱きしめた。