第2章 陰陽(夏油傑)※
『ここです。』
そう案内してもらったのは高級タワーマンションだった。
「…凄いところに住んでいるんですね。」
『あ、いえ…私一人っ子で…
大丈夫って言ったんですけど両親が過保護で…
セキリュティ万全のところじゃないと駄目って聞かなくて。
一人暮らしの女性は狙われやすいって言ってたんですけど私こんなんだし狙う人なんていないのに…って感じです。』
彼女はそう言って自虐していた。
『あ、お兄さんビッショリだからちょっと待っててくださいね!
すぐタオル持ってきます!』
そして彼女はタオルを持ってきた。
『はい、このタオルで拭いてください!』
そう言われ私は上着を脱ぎ髪の毛、シャツの上から身体を拭いた。
シャツが身体にくっつき身体のラインが見えていたんだろう、男慣れしていないであろう彼女は顔を真っ赤にさせていた。
「…ありがとう。」
『あっ、はい!では中へどうぞ!』
彼女に案内され部屋の中へ入っていく。
『あ、あとこれ着替えの服です!
ちょっと小さいと思いますが…すみません。
下着は新品のものなので安心してください!
タオルはこれを使ってもらって…』
「…恋人、いらっしゃるんですか?」
男物の衣類を持ってる、ということはそういうことだろう。
私は彼女に聞いた。
恋人がいるのに男を家に入れたらマズイだろう…そう思ったからだ。
『いえ、いませんよ。
よく男友達や従兄弟が泊まりに来るので用意してあるだけです。』
彼女はそう答えた。
『えっとお風呂はここで、お湯はここを捻ったら出てきます。
温度調整はこのボタンでしてください。
着用しているものは洗濯機に入れておいてください。
あとで洗いますので!
では、温まってきてくださいね!』
「…えぇ、ありがとうございます……」
そして彼女は出て行った。