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どうか笑って。【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】

第14章 感謝の日


「俺と結婚しよう!!!」

………

「はい???」

自分でも情けない声が出た。いや、待って、何を突然、結婚?え?この間付き合ったばっかりなのに結婚?え?一拍置いて、私は自分の頭に降り注ぐ疑問符に動揺した。頭に「?」が飽和して下がらない。そんな私にも構わず煉獄さんはまっすぐと私を見つめている。

落ち着け私、目の前の煉獄さんはいつもの煉獄さんだ。きっと何か考えがあって言ったのだ。また斉藤くんから何か言われたのかもしれない。ここは少しずつ紐解いていこう。あくまで冷静に…

「煉獄さん、」

「なんだ!」

「私たちこの間付き合ったばかりですよね、」

「そうだが!…」

私がそう言ったものの、煉獄さんはなおも私の肩に置いた手を下ろさない。それどころか「だが、俺は中彩と結婚がしたい」と続ける。どうしたんだ本当に。なんでそんなに必死なんだ。

「いいですか、煉獄さん。結婚って大変なんですよ。」

「む、」

「それに私たち、一緒に住んではいるけどまだお互い分からないことも多いと思うんです。」

「そんなことはないだろう!」

私は過去に島田と同棲をしていた。たしかに、煉獄さんと一緒に住んでいて特に何も問題は無い。彼はこうして家事を率先してこなしてくれるし、思いやりがある人だ。それはわかる。分かるけど…

「いや、結婚はもう少し仲良くなってから…」

「仲良くなる、とは具体的にどのようなことを指すのだ?」

もごもごと話す私の言葉に食い下がる煉獄さん。うー、困った。どうしたんだ本当に。そして私は自分の発した言葉に回答が詰まる。とにかくここはまず煉獄さんを落ち着かせないと。

仲良くなる、今よりも仲良くなったら、結婚出来る…どうしたら結婚ができるか、私は考える。そして思いつく。だが、それは私自身にも実行するのに照れが出てしまう事だったため、一瞬迷う。どうしよう、変に思われないかな。でも、もう既に相手は「結婚しよう」とまで言っているんだ。多少の照れなんか捨て置かねば。とにかく今は煉獄さんを落ち着かせるためにも、ここは毅然としなければ。

「例えば、名前で呼び合うとか」

「名前…?」

私の言葉に煉獄さんがぽかんとする。そんな彼に私は喉をゴクリと鳴らし精一杯の勇気を振り絞った。

「きょ、杏寿郎さん…」

私の裏返った声が情けなくも部屋に溶けた。
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