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どうか笑って。【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】

第11章 ずる休みと第22話


「待って!」

「中彩!」

私が手を伸ばすと、その先は天井だった。気づくと布団に寝かされている。隣を見るといつ帰ってきたのか、心配そうに顔を歪め私のもう片方の手を握る煉獄さんがいた。時刻は13:15。思いのほか時間はたっていなかった。

「あ、煉獄さん。おかえりなさい。」

「おかえりではない…心配したぞ……」

ケロッと言う私に煉獄さんはため息をついた。私の額に手を当てて「熱は無いな…」と呟くと、水を持ってきてくれた。私は煉獄さんの持ってきてくれたお水を口に含む。ズル休みをしたのに、まるで本当の病人みたいだ。

「ありがとうございます」

「何があったのだ」

「うーん、夢を見てました」

「夢?眠っていたのか?」

煉獄さんは私の言葉に首を傾げて「何も無いなら良いのだ」とどこか暗い表情をしている。

「とても美しい女の人が出てきました。」

「そうか。 」

私が夢の話を続けるのを見て、煉獄さんは少し心配そうに「とにかく、今日はゆっくり過ごそう」と声を掛けた。私は煉獄さんから受け取ったマグカップに映る自分を眺める。

私は杏寿郎を貴女の元へ送った存在です。

貴女には、杏寿郎のそばにいて欲しいのです。

先程の女性の言葉を思い出す。煉獄さんが、この世界に来たのにはなにか理由があるんだとは思っていたけど、まさかあの女性が送ったとは。私は自分が頭の隅で気になっていたことをあっさりと知ることになり、少し拍子抜けしてしまった。

だが、夢は夢だ。私の妄想が産んだ、本当にただの夢かもしれない。煉獄さんと過ごす心地のいい毎日が、このままずっと続けばいい。そう無意識に考えていた私が産んだ、ただの夢なのかもしれない。確かめるすべはない。

煉獄さんが私が水を飲みながら、物思いにふけっているのを大層心配したため、私は安心させなくては!と微笑んだ。もう本当に大丈夫だ。朝感じていた気だるさもだいぶ楽になった。もしかしたら夢の中の女性が私の疲れも癒してくれたのかもしれない。

そして私は思い出す。そう、今日はずる休みをしたのだ。せっかくならばもっと楽しまなくては。私は煉獄さんに微笑む。

「お腹すきましたよね!鬼滅の刃見ながらお昼ご飯、食べませんか?」

そんな私を煉獄さんはまだ心配そうにしていたが、ひとつ頷くと、「ああ!そうすることにしよう!腹が減った!」と笑った。
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