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どうか笑って。【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】

第11章 ずる休みと第22話


「かくして、斉藤少年、ホワイトデーには何を贈れば良いのだろうか」

俺は斉藤少年に向き直る。斉藤少年は手を顎に当て「うーん」と唸った。

「ホワイトデーは割となんでもいいんですよ。それこそアクセサリーを贈る人もいます。」

ホワイトデーとは奇妙なものだ。それを斉藤少年に言うと、「女はチョコなのに男はカバンとかアクセサリーとか要求されるの不公平ですよね」と笑う。中彩が喜ぶのなら贈ろうと思うが、中彩はあまり着飾る女では無いため俺は悩む。中彩に何を贈ったら喜ぶだろうか。

「ただ、本来ホワイトデーの贈り物は飴、らしいです。」

「飴?」

「なんでも、ホワイトデーに贈る飴には『あなたのことが好き』という意味があるらしいですよ。 飴は硬くて、味が長持ちしますよね。 飴のようにあなたを愛する決意は固く、愛し続けます。みたいな。」

「飴か…」

「贈ってみたらどうですか、中彩さんに。」

「む、…考えておこう」

斉藤少年と笑うと、他の生徒が「先生たち何話してるのー?」と合流してくる。長いこと話し込んでしまったようだ。俺たちは顔を見合わせると、稽古に戻ることにした。中彩はゆっくり過ごせているだろうか、俺はそう考えながら皆に声をかけて稽古を再開した。




煉獄さんが道場に出かけてから、私はまず、お皿洗いをし、洗濯を干し、そして掃除をした。ほんの数時間で少し散らかっていた部屋中がピカピカになった。私はその部屋の真ん中で頷く。なんて清々しいんだろう。ずる休み最高…!時計を見ると時刻は13時。もうしばらくすれば煉獄さんが帰ってくる時間だ。稽古の後できっとお腹がすいているだろうから、煉獄さんが帰ってきたらすぐ食べられるように、先にお昼ご飯を作っておこうか。私はそう思って台所に向かおうとした。

「っ………痛」

台所に向かおうとした瞬間、突然激しい頭痛に襲われる。ズキズキと、頭に脈打つ痛み。偏頭痛?いや、なんだ、この痛みは…痛い、痛い。私は思考することが出来なくなる。そして、立っていられなくなり、その場でうずくまり、倒れた。






声が聞こえる、女の人の声だ。誰の声だろう?温かく、優しく、そして凛とした強さがある。私は聞き覚えのないその声に耳をすませる。

「起きなさい、中彩麻衣。起きなさい。」
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