第3章 おでかけにいこう!
「なにか甘いものでも食べたい気分です」
「賛成だ!!!」
「どこでもいいですか?」
「構わん!勝手がわからないので、中彩に任せる!」
私はあまり歩き回るとも疲れるだろうと思ったので、上野御徒町のサンマルクカフェに入った。自動ドアをくぐると、甘いバターの香りがする。
「なんだか甘い香りがするな。」
「このカフェはチョコクロワッサンが有名なんですよ」
「チョコクロワッサン…?」
「サクサクであまーい食べ物です」
両手に荷物を持ってくれている煉獄さんの代わりに小さなトレーとトングを持って、私はチョコクロワッサンをふたつ取った。
「飲み物は何にしますか?」
「なんでもよい!」
「なんでも…、コーヒーは飲めますか?」
「コーヒー…馴染みはないが飲む!中彩が頼むものを俺ももらおう!」
「はいはい」
快活にそういうのでクロワッサンをレジに出しながら店員さんにカフェラテMサイズを2つ頼んだ。ちょうどよく席が空いていたので、指を指し、煉獄さんに席を取ってもらった。会計を済ませ、カフェラテとチョコクロワッサンを持って煉獄さんの待つ席に行く。
「はい、どうぞ」
「む、」
煉獄さんが持つとチョコクロワッサンが小さく見える。
「うまい!!!!!!」
ひと口食べた途端響いた、煉獄さんの大きな声にカフェにいたお客さんや店員さんがこちらを振り向いた。
「ちょ、煉獄さんっ…声を静かに…」
「すまない!」
周りの人の視線が徐々に元に戻るのを感じながら、私はあっという間にチョコクロワッサンを食べてしまった煉獄さんに思わず笑ってしまった。
「煉獄さん、チョコついてますよ」
「む、どこだ」
「ほら、ここ…」
おしぼりで口の端を拭いてあげる。
「このカフェラテとやらもとても美味だな!甘いチョコクロワッサンととても合う!!!」
「チョコクロワッサン、まだ食べたいですか?」
「いいのか?」
「ふふ、いいですよ買ってきますね」
席を立ってチョコクロワッサンを買いに行く。美味しそうに食べるのでなんだか買ってあげたくなってしまう。まずい、尽くすタイプのSAGAがこんなところに出てしまった。だが、
きっと煉獄さんは表には出さないけど、不安に思っているに違いない。知らない世界で、少しでも素敵と思えるものがあるなら、沢山触れて欲しい。