第3章 おでかけにいこう!
チョコクロワッサンを計5個食べてすっかり満足した様子の煉獄さんは上機嫌だった。
「よもやよもや、この世にはあんなにも美味なものがあるのだな!」
「ふふふ、あんなに食べて、夜ご飯食べられますか?」
「問題ない!!!」
湯島駅から数駅、最寄りから数分の小さなマンションに帰ってくる。つい昨日、煉獄さんが倒れていた玄関に今は二人で立っている。
部屋の鍵を開けて荷物を下ろす。一息つく前に、私は浴室に行ってお風呂を洗った。
「煉獄さん、先にお風呂に入ってください。」
お風呂洗いをする私を後ろから覗き込む。
「む、中彩が先に入ると良い、疲れただろう。」
「私は夜ご飯の支度をしますので。」
「何から何まですまないな。」
煉獄さんは私の目を見た。少しその瞳が寂しげに揺れたので、私は湯船にお湯を流しながら、思い出したように煉獄さんにハサミを渡した。
「ユニクロの服、いっぱいタグついてるのでこれ使って外してください、頼みました!」
結構面倒な作業を押し付けた。
「承知した!!!」
そんな私の思いを知らず、煉獄さんは器用な手つきでタグを素早く外していく。おお…すごい…。と感心した。私が夜ご飯を作っている間、煉獄さんはユニクロで買ってきた洋服のタグを外し、煉獄さんの作業が終わったところでお湯がいい具合に溜まった。
「先にお風呂、入ってください」
「うむ!!!」
サッと服を脱ぎ出すので慌てて後ろを向く。ちらっと見えた肌が綺麗で、私は介抱した夜のことを思い出した。
浴室のドアがパタンとしまった音を聞いて胸をなでおろし、もう1品なにか作れるかと冷蔵庫を開けていると、勢いよく浴室のドアが開いた。
「中彩!どのようにお湯を出したら良いのだ!」
「きゃっきゃぁぁぁ///」
何も隠さず煉獄さんがドアを開けたので目を閉じてしゃがむ。渡したタオルを腰周りに巻いてもらい、一緒に浴室に入ってお湯の出し方、シャワーとカランの切り替え、ついでにシャンプーリンス、ボディーソープ、洗顔料を指さした。
申し訳なさそうに深深と頭を下げる煉獄さんをなだめて、お風呂に浸かってもらい、私は浴室の外に出てしゃがみこむ。
「は、びっくりした…///」
今まで男性と付き合ったことがない訳では無いけど、なんだろう、ものすごく緊張する。心臓に悪い…///