第8章 かまどベーカリー
大学の食堂。
俺は1人昼食をとっていた。
…いつもぼっち飯をしているわけではない。
大体伊黒や不死川達が一緒にいるが、今日は講義が皆別だったため、偶々だ。
因みに今日の俺の昼食は、焼き鯖定食。
本当は焼き鮭がよかったのだが、それは明日のメニューだそう。
残念だ。
だが魚好きの俺にとっては鯖も好物の一つ。
美味しく頂くとしよう。
「よォ冨岡ァ」
もぐもぐと鯖を頂いていると、不意に肩を掴まれる。
振り返ると、三白眼の声の主がニヤリと笑う。
「ひはふはー」
「飲み込んでから言えェ」
ピシッとデコピンを一発食らった。
「痛いぞ不死川」
「ヘイヘイ、相変わらずしけたツラで飯食ってんなァ」
「…俺はぼっちじゃない」
「そこまで言ってねェ!」
「今日は来ないんじゃなかったのか?」
「講義はねェが、ちと用事思い出してなァ」
そう言うと、不死川は俺の隣にドカッと座る。
「また魚食ってんのかァ」
「俺は魚が好きだ」
「たまには肉も食っとけェ」
そんな話をしながら、不死川は何も食べないのだろうかと考えていると、
「不死川!君の分も一緒に持って来たぞ!む?冨岡もいたのか!」
素晴らしい発声の煉獄が、定食の乗ったトレーを2つ持って現れた。
その後ろに伊黒の姿も見える。
「悪ィな煉獄。伊黒も一緒だったんかァ」
「あぁ、たった今会ったところだ!」
煉獄はカツカレーの乗ったトレーを不死川の前に置くと、その向かいに自分も座る。
2人とも同じものを選んだようだ。
因みに俺の向かいに座った伊黒は、天ぷら蕎麦だった。
4人で食べ始めてから間もなく、さっきの講義はどうだった等の話が始まる。
俺はもちろん食べながら会話などという器用な事は出来ないので、いつも聞き役に徹している。
暫くして、伊黒が急に俺に話し掛けてきた。
「冨岡、柚葉が今日友人のパン屋の手伝いに行くと聞いた。お前が迎えに行くのだそうだな」
…何故知っている?
動きの止まった俺を見て、何が言いたいのか何となく察したのかまた伊黒が話し出す。
「蜜璃から聞いた。お前が迎えに来てくれると嬉しそうに話していたそうだ」
甘露寺からだったか。
納得だ。
嬉しそうに…
それを聞いて、俺も頬が緩みそうになった。