第6章 水族館
「え?ホントにくれるの?サンキュー義勇!」
錆兎は俺から受け取った土産を広げると、「おお、いいじゃん!」と嬉しそうに声を弾ませる。
「花里が選んでくれた」
「そうなの⁈センスいいね!」
「いえ、最終判断は冨岡さんなので…」
「でも最初に選んでくれたんでしょ?ありがとう柚葉ちゃん。大切に使わせてもらうよ」
「どういたしまして。でもタオルなのでゴシゴシ使ってください」
「うん、でもせっかく柚葉ちゃんが選んでくれたし、やっぱ大切にしたいな」
「え?あ…、その…ありがとうございますっ」
…なんだこれは。
初めて会ったばかりで何か始まるわけではないはずなのに、錆兎は妙な言い回しをするし、花里は照れてしまうしでここの空気が急に甘ったるい。
早くこの場をなんとかしたい。
それに、花里を照れさせているのが俺でない事が、少々悔しい。
「錆兎、そろそろ俺達は失礼する」
「もう行くのか?茶くらい出すのに」
「いや、いい。花里も今日は疲れただろうし、早く帰りたいだろう」
「…あ、えっと…」
「…では行こう」
花里の返事を待たずに俺は錆兎に背を向け門へと向かう。
戸惑う花里には悪いが、どうしても錆兎から引き離したかったのだ。
胸がやたらと苦しい
この感情はきっと…アレだ
まるで子供のようだな
心の中で自嘲しながら門に手を掛けた。
その時、
「義勇ストーップ!!」
何故だか急に呼び止められる。
「はいはいそーゆー事ね。柚葉ちゃんちょっと悪いんだけどそこで待っててもらえるかな?」
「はい!」
「ありがと。ほら行くぞ義勇」
なんだかよく分からぬ間に錆兎に首根っこを掴まれ、そのまま玄関までズルズルと連れ戻された。
「何の真似だ錆兎」
「はぁ〜、あのな義勇、俺相手に嫉妬するな」
「…」
何故分かる!
「他の人には分からなくても俺にはよく分かるぞ?義勇、お前柚葉ちゃんの事好きだろ」
「…」
だから何故分かる⁈