• テキストサイズ

君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第6章 水族館







大きな魚が何匹泳げるのだろうかというほど大きな水槽。
それを取り囲む様な形で設置されている、何段もの雛壇のような観客席。
その大水槽の奥には、一面ガラス張りの大きな窓。
一番目に飛び込んで来たのは、その更に奥に広がるコバルトブルーの大海原。
海沿いならではの大絶景が広がっていた。

「すごーい!海がずーっと奥まで続いてますよ!」

「吸い込まれそうだな」

「綺麗ですねぇ。あ、今は海を見に来たわけじゃないですからね!」

「そうだな」

「では行きましょう!」

ほくほくの花里の後に続いて、観客席の通路を歩いて行く。
一番後ろから入って来たのだが、どんどん前へ行ってしまう花里。
どんどん…

気付いたら、最前列に俺達はいた。

「…前過ぎないか?」

「何言ってるんですか!近くで見たいじゃないですか、イルカを!」

そう、ここはイルカショーの会場。
花里は、イルカが大好きなのだそうだ。

開演時間には随分時間がある為、観客席にはまだちらほらとしか人の姿は見えない。
他にも見晴らしの良いポジション等、座れる場所は幾つも空いていたのだが、

「ここならよく見えます!」

にっこにこで答える花里。
そんな笑顔で言われたら、もう俺は何も言えない。

しかし、本当にここでいいのだろうか。

「濡れると思うのだが」

「気にしません!」

潔い返事。
なんと清々しいことか。

本人が気にしないと言うことであれば、特に問題ないだろう。

「そうか」

了解の意味で、ただ一言返した。
…思えば、これがいけなかったのかもしれない。

「あ……、ごめんなさい」

ハッとしたと思ったら、突然俺に何かを謝る花里。
先程までの楽しそうな表情とは打って変わって、急に落ち込んでしまった。

「何故…謝る?」

「冨岡さん、濡れるの嫌ですよね?それなのに、私自分の事ばっかりで…。突っ走ってごめんなさい」

たった一言の返事に加えて、恐らく俺は無表情だったに違いない。
まだ付き合いの浅い相手に俺の表情を読めというのは無理な話だ。
嫌ではないのに。
花里に、勘違いをさせてしまった…

「やっぱりもう少し上の方行きましょう」

「ちょっと待て」

そう言って、別の場所へ移動しようとする花里の腕を掴んでとっ捕まえた。




/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp