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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第5章 あの時…



「まぁいいけど…」


錆兎はちょっと考えてから、


「分かった、柚葉ちゃんだろ!」


…なぜ分かる。


「まだ何も言っていない」

「俺を見くびるなよ義勇!」


「お前の事は全てお見通しだ!」と、ドヤ顔で言われる。

なぜだ。
これでは錆兎に隠し事が出来ないではないか。
…するつもりはないが。


「急遽これから一緒に出掛ける事になった」

「おぉ、デートか?」

「いや…」

「義勇?」


違う、と言えなかった。
なぜだかその否定的な言葉を、口にしたくなかったのだ。
やはりこの間から俺はどこか変だ。

言葉の詰まった俺を錆兎は深く追及する事はしなかった。


「“お出掛け“って事な?」


俺が頷くと、錆兎は満足そうに笑った。


「じゃあどっかで待たせてるんだろ?早く行かないと」

「あぁ。錆兎、今日は本当にすまない」

「いいっていいって、女の子優先!義勇ほら!」


「はよ行け行け」と、錆兎は俺をクルッと回し、背中をぽんっと押して送り出した。


「義勇ー!」


名前を呼ばれ振り返ると、


「お土産よろしく!」


錆兎がにこにこで手を振っていた。

抜かりなし。




















錆兎の家から駅まで急いで行くと、待ち構えていたのは腕を組み仁王立ちの伊黒。


「遅い!」


着いた途端に怒られた。
電車の発車時刻までまだ10分あるのに…

花里たちはもうホームにいるというので、駅の改札を通り2人が待つ場所まで移動する。


「冨岡さーん!」


俺を見つけた花里が「ここだよ〜」と元気に手を振っていた。
それを見て自然と口角が緩む。

「言っておくが…」と、2人の所へ着いたのと同時に、伊黒が俺に話し始める。


「今日は蜜璃と柚葉の頼みだからお前の同行を許しただけだ。それを忘れるなよ。それから…」


伊黒はふぅ…っと息を吐いてから、俺に向かって今日一番言いたかったのであろう一言を言い放った。


「今日1日俺に一切話しかけるな!!」


横にいた甘露寺は「小芭内さん⁈」とオロオロ。
花里は絶句していた。





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