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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第1章 出逢い



何と声を掛けたらいいのやら…と思いながら、その女の子の隣に無言でストンと座ってみる。
その振動が気になったのか、蹲っていたその子は急にガバッと身体を起こした。
寝ていたわけではなかったようだ。
ではやはり具合が悪かったのだろうか。
と考え、顔色はどうかと様子を窺ってみれば…

俺は目を見張った。
何故ならその子の目は潤み、頬には涙の跡がくっきりと残っていたからだ。
一目で泣いていたのだと分かるほどに。

思わずじっと凝視めてしまうと、俺の視線に気付いたその子が一瞬ビクッと肩を震わせる。
無言で凝視めてしまった事で、驚かせてしまったようだ。

…この後どうすればいいんだ。
少々焦る俺。

こういう時の気の利いた台詞が出てくれば良いのだが、生憎今の俺にはそんな言葉は全く思い付かない。
自分の語彙力の無さを呪った。


「…え?あの…、ごっごめんなさい!」


何がごめんなさいなのだろうか。
考える間もなく、突然目の前の女の子は勢い良く立ち上がり、くるっと向きを変えるとそのまま走り出してしまった。

…逃げようとしているのか⁈

まさかとは思うが、俺を変質者か何かだと思ったのだろうか。
いやあの反応、きっとそうだろう。

ならば彼女の行動は正解だ。
自分の身を危険から遠ざけようとしたのだから。
だがしかし、このままでは俺は彼女の中で変な男として認識されたまま終わってしまう。

ヤバイのでは…
早く誤解を解かねば。

何故こんな事に…と思いながら、走り去った彼女を追いかけるべく俺も勢い良く駆け出した。










ホームの一番端にある、改札口へと続く昇り階段。
そこに向かって走っていく彼女の後ろ姿を見つける。
今にも駆け上がろうと片足を一歩一段目にかけたところで、


「待て!」


咄嗟に出た言葉と同時に彼女の腕をむんずと掴んだ。


「っぎゃーー!!」


なんて声を上げるのか。
側から聞いたら本当に襲っていると思われるではないか。
幸いにも周囲には俺たち以外誰もおらず、警察に突き出される心配はしなくて済みそうだが。





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