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君に出逢えて、恋をして 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第1章 出逢い







俺はその日、普段乗らない路線の電車に乗っていた。

誰もいない家に帰りたく無かった。
ただそれだけだ。






突然大切な人が目の前からいなくなった。





















俺の教育実習が終わった頃、両親が少し遠くにある有名な神社へ行くと言い出した。


『義勇の就職祈願のお守りを買って来ようと思うんだ』

『そこのお守りがね、すごく効くんですって。待っててね、義勇』


就職試験を控えた俺の為に、優しい父と母はその神社へと出掛けて行った。

二人が帰ってくるその日、


『駅に着いたみたいだから車で迎えに行ってくるわね。お土産も買ってくれたんですって、楽しみね!すぐ戻るから待っててね』


そう言って姉は笑顔で家を出た。



三人はそのまま二度と家に帰ってくる事は無かった。






















適当な駅で降り、何をするわけでも無くそこにあったベンチに座る。

周囲がやたらと可哀想に気の毒にと同情する様な言葉を掛けてくるが、正直ほっといて欲しかった。

今は誰にも邪魔されない、静かな時間が欲しいと思っていたのかもしれない。





どのくらい時間が経ったのだろうか。

何となく辺りを見渡してみると、俺の座るベンチから少し離れたベンチに、何処かの学校の制服を着た女の子が座っているのが目に入った。

いや、座っているというより…
鞄を膝の上で抱え、そこに蹲っているように見える。

…具合でも悪いのだろうか?
それとも、眠くなってしまったのだろうか?
こんな所で。

普段なら人の事など全く気にならない俺だが、何故だかこの時ばかりはこの女の子の事が気になってしまい…

いつの間に立ち上がったのか。
気付いたら、俺の足はその女の子の元へと向かっていた。






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