第2章 きっとこれは恋じゃない
蜜璃ちゃんからの着信だった。
「もしもし蜜璃ちゃん?」
『柚葉ちゃん!ごめんなさいこんな遅くに。今いいかしら?』
「うん、いいよ?どうしたの?」
蜜璃ちゃんと夜電話をする事はそんなに珍しい事ではない。
大体蜜璃ちゃんの惚気話なのだけど。
嫌とかではないのでちゃんといつも聞いてあげている。
いいなぁと思いながら。
なので、また伊黒さんの話かな?と思いきや、そうではないらしい。
『あのね、柚葉ちゃん明日冨岡さんのお家に行くでしょう?』
なんと、私の話だった。
『それでね、本当に冨岡さんで合ってるかしらとか、明日お留守だといけないから小芭内さんにお願いして冨岡さんに連絡取ってもらったの。そしたらね、やっぱり私達の知ってる冨岡さんで間違いなかったわ!』
「本当⁈良かった!」
『明日はお家にいるからいつでも行っていいそうよ!』
気にして連絡を取っておいてくれたんだ。
良かった、これなら安心して眠れそう。
「ありがとう蜜璃ちゃん。伊黒さんにもありがとうって伝えておいてね」
『えぇ伝えておくわ!あ、そうそう柚葉ちゃん。小芭内さんにね、「冨岡にはくれぐれも気を付けろ。何かあったら直ぐに連絡するように」って伝えるように言われたの』
「……」
一回しか会った事ないから、もしかしたらあれは仮面を被っていたのかもしれない。
本当はキレやすいとか?
…いやまさか。
などと物騒な事を考え始める私。
『でも大丈夫よ!私時々会ったりするんだけど、全然そんな事ないから安心してね!ちょっと無口過ぎるけど優しい人だと思うから。小芭内さん心配症なのねきっと!』
心配症ってレベルなのかな。
冨岡さんが危険人物と見なされてる気が…
一先ず冨岡さんは安全だと分かったので、蜜璃ちゃんとおやすみなさいをして電話を切った。
布団に入ってさぁ寝れるかなと思ったけれど、やっぱり明日が待ち遠しくなってしまってなかなか寝付けない。
わくわくそわそわしてる。
子どもか私は…
いつにも増して目が冴えてしまって、この日寝付くことができたのは、時計の針が2時を過ぎた頃だった…