第2章 Episode.02
「ほら、やっぱり泣いてた」
「!泣い、てなんか……っ」
「目、赤い」
嘘、見えてないはず…だってこんなにも暗いのに。
「俺のせい?」
「だから、泣いてないって……」
「俺が傷つけた?俺のことだけ考えてた?」
「………」
包まれる両頬。
温かくて大きな手の平を、太陽が沈んだ夜色の中で感じた。
振り解きたいのに、虎杖くんがそれを許さない。
だめだ、また。溢れて、くる。
「…私、虎杖くんが、分かんない」
「うん」
「虎杖くんにとっては何でもないようなことでも…私にはすごく大切なことだったり、嬉しいことだったり…哀しいことだったりするの…」
「……うん」
「からかってるなら、もう、私に構わないで欲しい」
「それはやだ」
駄々をこねる子供みたいな言い方に、一瞬気が抜けてしまった。
やだって……そんな。
*