第2章 Episode.02
(良かった、誰も居なくて……)
一人呟いて、自分の席に座り込む。結局、また学校に戻って来てしまった。
泣き腫らした目で家に帰りたくなかったし、何より一人になりたくて。
ぐるぐる歩き回った末に、思い浮かんだのが皆が帰った後の学校。
辺りはもう薄暗くなっていて、職員室位しか電気がついていない。
少し、ここで気持ちを落ち着けてから帰ろう。
机に顔を伏せて、熱をもった瞼を閉じる。
それでも、出てくるのはため息ばかり。
「はぁ……」
「泣いてるの?」
「泣いて、ない……」
なんか、前にも似たような台詞聞いたことがある気が……。
いや、それよりも。
「!?」
居るはずのない人の声に驚いて、ガバッと顔を上げると、そこには。
「な、ん……」
「何となく、学校に居るかなーって思って。良かった当たってて」
「………っ」
へらりと笑う虎杖くんに、落ち着きかけていた感情の波がまた押し寄せて来る。
何で、何で、何で、いるの…?
*