第2章 Episode.02
一方。
残された虎杖達はというと。
「あらら。悠二、追いかけなくていいの?」
「悟さん」
「泣きそうな顔してたけど」
「んー……でも、」
先にこれ言ってから。
と、じろりとクラスの男達を見渡す虎杖、彼の鋭い視線に全員がびくりと身を竦ませた。
「つーわけで、は俺のだから」
虎杖の言葉に、またもや全員が冷や汗を流す。
「手ェ出したら、だーめ」
「………!」
虎杖を怒らせたらダメ。絶対に。これはクラスの暗黙のルール。
やると言ったらやる。必ずやられる。
つい先程打ち明けられた虎杖との会話を聞いて、確かにって抱き心地良さそう……などと想像してしまった輩も少なくない。
しかし、ここまで釘を刺されてしまえば、迂闊な行動に出る人間は居ないだろう。
男達の反応に満足したのか、虎杖がにっこりと微笑む。
そして、すでに溶けてしまった残りのパフェを一気に胃の中に収めると、荷物を持って立ち上がった。
「じゃあ悟さん、ごちそーさま。ツケといてくれる?」
「またかよ。まぁいいや、面白いもの見せてもらったし」
「ありがと」
軽い足取りで店を後にする虎杖の背中を見つめながら五条は、少しだけを気の毒に思った。
(よりによって悠仁に捕まっちゃうなんて)
絶対、逃げられないね、あの子。
思いながら、フッと苦笑を浮かべる五条。
それでも、二人で一つのパフェをつついている姿を思い出して、まぁあの子なら……と微笑ましい気持ちにもなったのだった。
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