第2章 Episode.02
「…はさ、そうやって笑ってた方がいいよ」
「え……」
私、笑ってた?一人で?うそ、恥ずかしい。
けど、そう言う虎杖くんも、どこかやわらかい表情をしていた。
「別に好きなもんは我慢しなくていーじゃん。体型のこと気にしてるみたいだけど、全然そんな必要ないし」
「………。」
虎杖くん……私が自分の身体のこと嫌いって言ったの、覚えててくれてたんだ。
「このままで充分可愛いし、触り心地も抱き心地も超いいし」
ん?……なんか話がズレていって……。
「感度も良くって、何より俺のが反応したっつーのが……」
「――!!ちょっ!なっ…!」
衝撃の発言に、頭が真っ白になる。
というか、さっきから薄々は感じてたけど、周囲の皆さん、やけに静かじゃないですか。
「…………。」
気付きたく、なかった。見たくもなかった。
皆の呆然とした顔なんて。
もしかしなくても、注目されてた……?
しかも、多分大分前から。
一気に身体が熱くなっていく。
「や、これはちがくて、その……っ、というか、虎杖くんそのことちゃんと覚えて……!」
「忘れるはずないじゃん、あんな超可愛い。思い出すと今でもやば……」
「わああああ!!」
ほんっとにこの人信じられない!普通言わないよ!こんな勘違いされそうなこと(事実だけど)こんな大勢の前で!
ああ駄目だ、悟さんすらもびっくりしたような顔で私達を見てる。
顔が熱い。羞恥で泣きそうだ。
「……か、帰る!」
「え、うそ、待っ……」
「もう!さっき言ったことやっぱり無し!」
ごちそうさまでした!
と叫ぶように言い捨て、荷物を抱えて店から飛び出す。一気に階段を駆け上がって、そのまま街の中を走り抜けた。
*