第2章 Episode.02
(う…やっぱり、美味しそう……)
何の躊躇もなくスプーンを入れる虎杖くんの手元に釘付けにならないように、全力で目を逸らす。
横目に見える。すくわれたであろう大粒の苺。
てっきり、そのまま虎杖くんの口に運ばれると思ってたのに。
「はい、あーん」
唇に、ぴとっとひんやりとした感触。
びっくりして逸らしていた目を向けると、そこには虎杖くんとパフェの何とも言えないツーショットが。
「ほら、あーんして?」
「あ、あー……?」
「そう、あーん」
何だか混乱、して。
言われるがままに、口を開ける、と。
「ん……っ」
ぽいっと口の中に放り込まれた大きな苺。
反射的に噛み砕くと、瑞々しい甘酸っぱさと生クリームの甘さが一気に広がった。
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