第1章 Episode:01*
高一の五月。
親の仕事の都合のせいで転校する羽目になった私。
馴れ親しんだ街から出るのも友達と離れるのも嫌だったけど、仕方ないことだと素直に承諾した。
一生会えなくなる訳でも戻れない訳でもないんだから、って。
後から聞いた話、私が転入することになった学校は問題児ばかりが集められた不良の巣靴となっているそうで、街ではここの制服を着た人間には近づくなと教えられるほど、有名らしい。
普通の高校だよ、ってお母さん言ってたのに、天然もほどほどにしてよ……。
授業風景も見てるだけで、ハラハラしてしまって心臓にすこぶる負担。
大半お喋りしてるか寝てるか教室にすら居ないのがほとんどだし、先生達も早く時間が過ぎて欲しいって感じみたいだ。
長い長い午前中が終わって、やっと昼休み。
でも私は未だに気に入られてないみたいで、陰口言われたり舌打ちされたり睨まれたり。
食欲も湧いてこなくて、開いたお弁当をそっと鞄の中にしまう。
私はもう怖いやら、へこむやらで顔を上げることが出来なかった。
そんなに全力で目の敵にしなくても……やばい、泣きそうになってきた。
心細い。帰りたい。
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