第1章 Episode:01*
よかった、と安心したのも束の間。
「やばい…。俺勃ってきちゃった」
「!?」
何言って、と言葉を次ごうとした瞬間、今まで私を押さえつける為だけにそこにあった手が、意味ありげに動き出した。
感触を楽しんでいるように、虎杖くんの手が内股を撫でていく。
「やばい、えろすぎ…」
「や、ちょ…ふざけるのもいい加減に、」
して!
と、怒鳴ってやりたかった、のに。瞬間、ぎゅうと固いものを腰のあたりに押しつけられて。
言葉が、出なかった。
(うそ……)
何で虎杖くん、私なんかに欲情してるの…。
「ひゃ……!ほんとに、やめ、っん…」
「わりぃっ、止まんない」
うなじに唇を埋められて、啄むようにちゅうちゅう吸われる。
湿った稚拙な音が、脳みそに直接響いてるみたいだ。
恥ずかしい。逃れたい。
私の身体を包み込む虎杖くんに遠慮なしに触られて、身動きが出来ない。
見た目は細いのに、こんなの詐欺だ。
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