第1章 Episode:01*
「はい動いちゃ駄目よー」
「いっ…!」
「動いちゃ駄目だってば」
虎杖くんは見当たる傷全部を手当てしてくれて、気付いた頃には、私の身体は絆創膏だらけになっていた。
教室に戻るの恥ずかしいな、なんて考えていると、真面目な顔をした虎杖くんと不意に目が合う。
捕われたように、逸らすことが出来ない。
「……ごめん」
「え……」
「伏黒から話聞いて、すぐ探したんだけど。間に合わなかった」
言われて、湿布が貼られた頬を、するりと親指で撫でられる。
長い指。そういえば、虎杖くんの手は大丈夫だろうか。
「……虎杖くんのせいじゃないよ」
あっちが勝手に因縁つけて来ただけで。
――――それより。
「助けてくれて……ありがとう」
「……」
「ごめんね…いつも助けて貰ってばっかりで…でも、ほんと、ありがとう」
私は今、ちゃんと笑えてるんだろうか。
熱を持った頬に感覚はないけれど。
ちゃんと、虎杖くんに、笑えてるかな。
*