第1章 Episode:01*
「ざっけんなよ!誰に手ぇ出したと思ってんだ!あぁ!?」
「かはっ!」
吠えるように凄むその声は、教室での虎杖くんしか知らない私にはかなり衝撃的だった。
まるで別人。あの時聞いた、周りを押さえ込むような声ともまた違ってて。
立ち上がらなくても、もうやめてくれって男子生徒達が叫んでも。
虎杖くんの拳は、止まらない。
このままじゃ。
「虎杖くん!もういい、から、私は大丈夫だから、や、やめて……っ」
「………」
「虎杖くん!!」
止まらない。
虎杖くんの綺麗な手にも、段々血が滲んできて。
嫌だ、と心の底から思った。虎杖くんが、怪我するなんて。そんなの。
「いたど…っゆう、じ…、悠仁くん!!」
「っ!」
ぎゅうと背中に抱きついて名前を呼んだ瞬間、虎杖くんの身体がビクンと大きく揺れて、動きが止まった。
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