• テキストサイズ

*Sweetie*-呪術・虎杖悠仁-

第1章  Episode:01*


 

「おい。ちょっと面貸せや」

「俺らと遊ぼー。ちゃん」

「……………」


販売機に着く前に、複数のいかつい男子生徒達に声をかけられた。

多分同級生。その後ろにはクラスの女の子達もいて…。


「オラっ!」

「っ!」


校舎裏に着いた途端、掴まれていた腕ごと引っ張られて、ザラザラとした壁に叩きつけられた。

痛い。あまりの衝撃に、ずり下がるようにその場に座り込んでしまう。


「何でお前みたいな冴えねぇ奴が虎杖のお気に入りなのかは知らねーが、あんまり調子に乗らねぇ方がいいぜ」

「……!?」


お気に入り?訳が分からない。

男の後ろで私をからかっていた女の子達がクスクスと笑っている。

そうか…この子達が私を脅すようにこの人達に頼んだんだ。


「お前みてぇな奴が虎杖の隣にいていいと思うなよ?」

「目障りなんだよ」


いつかの伏黒くんの言葉が頭を過った。
 

『敵も多いがあいつに憧れてる奴も多い』


今目の前に居るこの人達は、確実に後者の方だ。

警報が鳴る。


(駄目…ここに居ちゃ…)


虎杖くんの、足手纏いになっちゃう。


「おい待てコラ!」


走り出そうとした私の身体は、いとも簡単に連れ戻されて。

顔に、一発。お腹に、一発。

目の前がチカチカした。


「お前ら何してんの?」


激昂する上級生を押さえ込むように聞こえた、覚えのある間延びした声。

駄目だとは思っていても、ほっとしてる自分が居た。


「随分楽しそうだけど」

「てめ…虎杖……」

「男なのに女殴るとか最低だな」


同級生の肩越しに、虎杖くんの姿が見える。

未だにぶれる視界のせいで、表情までは分からなかったけど。


「虎杖、くっ……」


なんで、ここに。
言いたかった言葉は形にならずに千切れて。

骨が砕けるような鈍い音に、跡形もなく掻き消されてしまった。



/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp