第1章 Episode:01*
ガァン!
突如響いた破壊音に、一瞬にして教室中が静まり返る。
私はもちろん。皆、目を見開いて、たった一人の人間を見つめていた。
机を蹴飛ばした張本人、虎杖悠仁、を。
「……うるせぇよ」
倒れた机を足蹴にしながら、静かに言葉を放つ虎杖くん。
その顔には何の感情も浮かんでいなくて。
たった一言、なのに。
ひしひしと伝わってくる、凄まじい威圧感。
飲み込まれそうな迫力に、身体の中をひんやりとした何かが駆け抜けて行く。
「こ、こら、その辺にし、しておきなさい。」
担任が震える声でそう言って、その場は何とか収まったけど、普段強面のクラスメイト達は皆真っ青な顔色をしていた。
重い雰囲気の中、ちらりと隣に目を向けると、虎杖くんは蹴飛ばした机を直してる最中で。
目尻ににうっすら涙が残っている私の顔を見ると、『わりぃ』と口だけを動かして、片手をこちらに向けた。
そんな私達の様子をじっと見つめる、生徒がひとり。
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