第1章 チョコと煙草 *宇髄天元*
「…先生。それ、もらったの…?」
に背を向けて戻ろうとすると、後ろからか細い声で呼び止めれる。
「おー、俺はモテモテだからな、もらって当然だ。お前こそ、さっき中庭にいただろ?」
振り返ってを見ると「なんで…?」と淡褐色の瞳が揺れる。
「好きなやつにチョコ、渡せたんだろ。幸せにな…彼氏に誤解されちゃ悪ぃから、もうここ来んな。じゃあな」
そう吐き捨て再び踵を返す。
とんっ
背中に温かく柔らかい感触に包まれたと思うと、腰に腕が回された。両手に抱えていた可愛く包装された箱達が、音を立てて地面に落ちる。
「やだっ」
「なっ…おい、離せよ」
なんでこんなことすんだ…
期待しちまうだろっ、くそっ
「好きなのっ!!」
ぎゅぅっ
回された腕に力が入るのがわかった。
「……は?何いって…」
「私、先生が好きっ、初めて先生を見たときから、ずっと好きなの!だから…」
徐々に声が小さくなる。
それと同時に身体が震えているのが背中越しに伝わってきた。
「だからっ…お願い、またここに来させて…先生の、隣にいさせてよっ…うっ…ぐすっ」
迷いなんてなかった。
彼氏?そんなもん、関係ねー。
そいつから俺が奪ってやる。