第5章 群青の飛球 *不死川玄弥*
逆転ホームランで勝利を挙げた俺達は、応援に来てくれた保護者や部員達に挨拶をする。
俺は無意識にの姿を探していた。あの一言が俺を後押ししてくれたから…
でも、そこにいるはずなのにあいつの姿はなかった。
会場から出る前に主審から"ウィニングボール"が渡された。それを持って外へ出ると数人の記者に囲まれた。次から次へと質問攻めをされ、初めてのことに戸惑いながら一つずつ丁寧に受け答えして最後に、と女性記者が取材してきた。
「打席に立った時、スタンドから女生徒の大きな声援が聞こえてきましたが、やはりあれが勝因だったのでしょうか?」
いかにも"恋人でしょうか?"とさもさもしい聞き方をされたけど、まだそういう関係じゃねぇ…これからきちんと想いを伝えるつもりだ。
勝因…そうだな。それならあいつは……
「そうっすね…あの一言があったから勝てたと思います。特別な存在…勝利の女神ってとこっすかね!」
少し照れながらそう言うと、周りの記者たちも「おぉ~」と声を上げた。自分で言っときながらなんだか恥ずかしい…
取材を終えると皆のところに戻る。
再びの姿を探せば、皆から離れたところで俯いて泣いている。
「何泣いてんだよ、勝っただろ…?」
「玄弥…だ、って……嬉しくて。」
嬉し泣きだと言うに先程貰ったウィニングボールを手渡して、想いを伝える。
「…ありがとな、お前の声が俺を勝たせてくれた。俺にとって……はやっぱ特別だ、お前が側にいてくれるだけで頑張れる、だから……」
「それは…期待してもいいってこと?」
「…っ!こういうの初めてだから何て言っていいかわかんねぇけど………好きだ。」
そう一言告げればまた泣き出す。
俺の勝利の女神は、涙もろい……
Fin.
+あとがき+
ご一読ありがとうございます!
途中から野球の話ばっかで申し訳ありません…作者が高校野球好きなので、球児のお話にさせていただきました♡情景がわかりにくかったらすみません_| ̄|○
書いてたら筆が進む進む……のわりに全然絡んでなかった気がします。なのでこのお話…続編を考えております!付き合ったその後、みたいなお話を書けたらなっと思ってます♡すでに頭のなかで仕上がってます…うふふ♡