第1章 チョコと煙草 *宇髄天元*
それから俺は毎日屋上へ通った。
煙草を吸うため、というのは口実で本当はあいつに会えるから
会うたびに「パンツは何色だ」と、聞いてからかったり「目をよく見せてくれよ」と言って顔を必要以上に近づけてみたり…そうすると「変態!セクハラで訴えてやる!」と言われ睨まれる。
それでも毎日のようには俺の前に現れる。
少し、期待してもいいのか…?
そして、バレンタインまで数日と迫った今日。
隣にはいつものようにの姿。
最近ハマったという、チョコを上手そうに頬張りながら俺の横で楽しそうにしゃべる。
「あ、先生も食べる?」
そう差し出され「おぅ、さんきゅ」と口に放り込む。すると、甘ったるい味が口いっぱいに広がった。
「なぁ、お前。好きなやついんのか?」
「は、はぁ!?!?と、突然なんなの!?!?」
顔を紅くしながら叫ぶの反応が、気になる。この反応は好きなやつがいるんだろう。
「いや、もうすぐバレンタインだろ?だからお前、好きなやつにやんのかなーって思ってよ。悪ぃ、気にすんな」
そう言って頭をポンポンと優しく叩くと、また頬を染めながら俯いた。