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らぶみーてんだー【鬼滅の刃/短編/R18】

第5章 群青の飛球 *不死川玄弥*




「とにかく…明日の試合、かっこいいとこ見せてよね!!じゃまた明日」


それだけ言うと逃げるように帰っていった。
引き留めるべきだろうが、頭と身体が追い付いていかない。


(が俺を、好き…?)


その場に立ち尽くし、あれは告白と受け取っていいのかと考える。これって両想いってやつだよな…こういう時って男から言うのが筋じゃ……明日、活躍出来たら……かっこいいところ見せられたら、きちんと想いを伝えよう。
不器用ながらに作ってくれたちぐはぐの御守りを握り締め、小さな誓いを立てた。





次の日、俺達は初戦の相手、十二鬼月学園と接戦を繰り広げていた。十二鬼月学園は毎回上位に入る強豪校、うちのキメツ学園も上位の常連だ。そのライバル校同士が初戦から当たるということもあって、スタンドには観客や記者達も大勢来ていた。

先攻は十二鬼月学園、後攻はキメツ学園。
無得点のまま回が進み、試合が動いたのは7回表だった。ここまでノーヒットに抑えていた煉獄さんが初めて出塁を許すと、その回に2点入れられてしまった。

その後もなんとか食らい付こうとするも、簡単には得点を入れさせて貰えなかった。そのままついに最終イニングを迎えた。ここで負けてはいられない…
ベンチから声が枯れる程応援していると、キメツ学園をピンチが襲う。

相手校の打った打球が煉獄さんの肩に当たってしまった。煉獄さんはエースだ。そのエースが戦意喪失してしまっては追加点を許してしまうだろう。
すぐに冷却スプレーを持ってマウンド上にいる宇髄さんと煉獄さんの元へと駆け寄る。


「大丈夫っすか…?」
「うむ、問題ない!ありがとう!」

「…玄弥、お前すぐ肩作っとけ。あんな打球もろに受けてんだ、あれじゃ無理だ。お前がこの回抑えろ」


煉獄さんに聞こえないようこそっと耳打ちされる。その言葉に朝、宇髄さんに声を掛けられた時を思い出す。


『お前をベンチ入りさせんのには、本当悩んだよ。素質は十分にあるけど、血筋なのか煽られると暴走する癖がありそうでよ…そんな理由で不安にさせちまってわりぃな』


以前、練習試合のときに相手校のピッチャーが煽ってきたらしく、兄貴がそれに乗っかって暴走したことがあったらしい。そんなのが2人もベンチにいたら、と考えると少し躊躇したと宇髄さんは苦笑いして教えてくれた。

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