第5章 群青の飛球 *不死川玄弥*
「んだとっ、テメェ!!」
童磨の胸ぐらを掴むとが割って入ってきた
「玄弥やめて!ダメだよ…こんなことで、試合出れなくなってもいいの?」
「ちっ…、わかってる。」
掴んだシャツを離してトンっと、軽く押し返せばわざとよろよろと尻餅をついて「いたたた~…怖いねぇ~、これだから不死川兄弟は」とまた挑発してくる。
(こいつっ……!!わざとらしいことしやがって…)
『試合出れなくなってもいいの?』
そんなこと関係ねぇ。俺はベンチ入りすら出来なかった。今までしてきた努力を認めてもらえなかったんだよ…その苛立ちをぶつけるように拳を振りかざすと、後ろから腕を掴まれた。
「オイ、くだらねぇことしてんじゃねぇよ。阿保かァ」
「あ、兄貴…でも…っ!」
兄貴の登場に童磨以外の部員達は怯えている。
童磨はにこりとまた作り笑いをすると「不死川くんの登場か…じゃ、また地区予選でね」と言って去っていった。
「お前、今大事な時期なのわかってんのかァ?…今の、少なからず問題になるかも知れねェ。先に手出したのはお前だ、覚悟しとけよ。」
「そんな…待ってよ実弥!玄弥は何もしてないよ?!それに煽ってきたのはあっちだし」
「確かに未遂だ。けどな、殴ろうとしたことに違いはねェ…周りに迷惑かけんじゃねェよ…こいつにもな」
(兄貴の言う通りだ。あんなの言わせておけば済む問題だった…だけど、だけど…あんなこと言われたら俺だって黙っちゃいられねぇよ…)
次の日学校へ行くと、やっぱり昨日の事が問題になっていた。「玄弥は悪くないです!」とが必死で説明してくれたが、それも虚しく監督から「一週間自宅謹慎」と告げられた。騒ぎを起こして処罰が俺だけで済んだのが幸い。あの時本当に殴っていれば、地区予選への出場を取り消されていたかもしれない。