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らぶみーてんだー【鬼滅の刃/短編/R18】

第5章 群青の飛球 *不死川玄弥*




兄貴と俺を比べないところ、俺は俺としてちゃんと認めてくれてる。俺が今一番求めていることをくれるのは、こいつだけなのかも知れない。
だからどんどん惹かれるんだ…。



いつもみたいに並んで歩く道のりが今日はなんだか長く感じる。気分でも替えようと、帰り道にあるたこ焼き屋の前で足を停めた。


「お前んちで食っていい?たこ焼き」
「わぁ!食べる食べる~♡あ、私キムチマヨねっ?♡」
「なんで奢る前提なんだよ、しかもキムチマヨとか女子の選ぶ味じゃねぇだろ…まぁいいや、待たせちまったし今日のところは奢ってやるよ。あっちで座って待ってろ」


待たせた詫び、と言うとは「やったね!」と嬉しそうにガッツポーズをして少し離れたベンチに座った。
たこ焼きが出来上がるのを待っている間、考えないようにとしていても、やっぱり宇髄さんの言葉が頭のなかでぐるぐると回る。


(なんだよ、荷が重いって…俺はその辺のやつよりメンタル弱くねぇ……むしろ煽られれば燃えるタイプだっての)


「…や、やめて!離してっ」


の声にはっとして視線を向けると、見覚えのある制服を着たグループの1人が腕を掴んでいた。


「おい、離せよ…」
「あれぇ?これはこれは…不死川くんの弟じゃん。可愛いから声かけただけだよ~、そんな怖い顔しないでよ」


十二鬼月学園の野球部員達、俺達の初戦の相手校だ。
そして…感情のこもってない冷たい作り笑顔でこちらを見ているのがエースの童磨。


「嫌がってるだろ。その汚ぇ手、離せよ…」
「え~?折角可愛い子と遊ぼうと思ったのに、ざ~んねん。あぁ!もしかして彼女だったりしてぇ?あ、そんなことないか!弟くんは野球しか興味無さそうだしね。でも努力しても無駄じゃない?不死川くんと違って才能無いもん、君。」


あからさまに煽ってる。
わかってる、煽られてるなんて…でも、さっきから黙って聞いてりゃこいつ……今日の俺は虫の居所が悪い。口よりも先に手が出てしまった。

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