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らぶみーてんだー【鬼滅の刃/短編/R18】

第5章 群青の飛球 *不死川玄弥*





練習に戻ると、兄貴に声を掛けられた。


「また怪我か?テメェは反応が鈍いんだよ。そんなんじゃベンチ入りなんざ出来ねぇなァ」


捨て台詞をひとつ吐くと、バットを片手に「ノックの特別指導だァ」と炭治郎達の所へ行ってしまった。善逸は青くなって逃げようとしてたけど、炭次郎が服を掴んで「先輩からの特別指導なんてありがたいだろう!ほら行くぞ、善逸!」と、キラキラと瞳を輝かせてグラウンドに引きずり出した。



兄貴は野球がめちゃくちゃ上手い、打率もよければ守備でも魅せる。そんな兄貴をこの学園から引き抜こうとする学校は少なくない。
でも俺は…兄貴の足元にも及ばなかった。どこに行ってもいつも『不死川の弟』としか呼ばれない。でも俺は諦めたくなかった、絶対にいつか兄貴を越えてやる、俺は俺として…『不死川玄弥』として世間に認めさせてやる!再び熱い決意を胸に、ミットを取りマウンドへ向かった。





練習が終わって、部室で着替えていると勢いよく扉が開いてが入ってきた。


「玄弥、まだー!?早く帰ってスコアの書き方また教えて欲しいんだけど!!」
「い"ぃぃや"ああああ!!ちゃん、まだ着替えてますのでぇぇ!!と言うかノックしてぇぇぇ!!!」

汚い悲鳴をあげて身体を隠す善逸は置いといて、こいつは俺達を男として見てねぇのか…それとも男の裸は見慣れてる…?いや、それはありえねぇ。ずっと一緒に過ごしてきたけど、こいつにそんな奴は1人もいなかったはず…少しは意識してもらいたいもんだぜ…


「あ、そうだ玄弥。さっき宇髄さんが呼んでたぞ?」
「は…?い、いつだ!?」

余計なことを考えていると炭治郎から5分程前に呼び出しをくらっていたことを告げられ表情が強張る。
この学園の野球部では特別なルールがある。下級生が上級生に呼び出された場合10分以内に呼び主の元へ行かなければならない、それが出来なかった奴は……生きて帰ってこれないという噂がある程の恐ろしいトレーニングが待っている。その名も〈呼び出しダッシュ〉という。


(そんなの冗談じゃねぇ…どう考えてもパワハラだろ!生きて帰ってきてやる!!)


俺は残り5分以内に呼び主の元へと無事たどり着けることを祈りながら走った。

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