第1章 チョコと煙草 *宇髄天元*
唇が離れると、至近距離で淡褐色の瞳と視線が合う。
「好きだ、」
想いを伝えれば俺を映している、綺麗な瞳が揺れる。
「…っ、順番が逆だよ…ばか。」
「うるせー。先生に向かってバカはねーだろ」
揺れる瞳を隠すように俺の胸に顔を埋めてくすっと笑うと、再び顔をあげて微笑む。
「もう先生じゃなくて、彼氏だからいいのっ」
と涙を拭いながら、ポケットから小さな箱を取り出しす。
「もう、ホントに順番めちゃくちゃっ、笑っちゃう……好きです」
そう言って小さな箱を差し出す。
その箱は煙草に似ていた。
「おぅ、俺も好きだ。…これ、食ってもいいか?」
「うん。手作りって訳じゃないけど、いつも煙草吸ってるから…」
その箱を開けると甘ったるい匂いが鼻を擽り、中から煙草そっくりなチョコが顔を出す。
「あ、やっぱ……口開けろ」
「え?」
応える前にの口にチョコを突っ込むと、そのままぱくっと咥えられたチョコに食い付く。
「んんっ!?」
「ふっ、ごちそうさん」
唇を離すとは口をパクパク言わせ、顔を紅くして固まっていた。
「貰うんなら、こうやって貰わねぇとなっ」
そう意地悪く言うと「やっぱ、ホントに変態かも」と俺にとってはほぼ褒め言葉のようなことをいうので、さらに煽ってやろうと耳元に口を寄せて、いつものように聞いてみる。