第1章 香水のせいだよ
「逃げます!逃げますから!!」
私が身を捩って逃げようともがくも、長身のクラヴィスさんにとっては獲物が逃げようともがいている程度の足掻きでしかないようで、なかなか逃げ出せない。
「ははっこれはこれで愉快な気もしてきたな。逃げようとも逃げられないか、それならそのまま食べてやろう」
首筋にキスを落とされ、ペロリと舌が首筋を舐め上げる
「ひゃあ!?」
むせかえるような香水のにおいで、頭もクラクラしてきた。でも、なんとかして逃げないとここでクラヴィスさんに食べられてしまう!
と、クラヴィスさんがパッと私の拘束をとき、砂時計を取り出した。
「まぁしかしこれはゲームだ。ちゃんと自制してこの砂時計の砂が落ちるまではここに居ておこう。我慢した方が捕まえた時に美味しくいただけるからな?さぁ、うまく逃げてみせろよ?、ゲーム終了は日没までだ。」
言い終わるや否や、砂時計をくるりとひっくり返し、腕組みをしながら椅子に腰掛けた。
「ぼーっとしてたらこの場で捕まえるが、いいのか?だいぶ我慢しているのだが?」
「逃げます!絶対逃げ切って見せますから!」
半泣きになりながら、私はサリエル先生の部屋から飛び出し、身を隠す場所を探すことにした。
あの砂時計がいつ落ち切るのかわからない。
3分も持つだろうか?っていうかクラヴィスさんがちゃんとルール守るのか?それすらも怪しいけど、とにかくクラヴィスさんが行かないようなところへ逃げなくては!
走りながら私は考えていた。どこが安全?私の部屋は?サリエルさんの部屋から遠いから追い付かれたら危険だけど、逃げ切って部屋の鍵をかけて籠城したらなんとかなる??
図書館はどうだろう?城の図書館はかなり広いし、使われてない倉庫はたくさんあるし。あぁでも私がそこを気に入ってることはバレてるからすぐ見つかりそうな予感はある。
城の中の空き部屋はどうだろう。クラヴィスさんがなかなか行かないようなところだったらじっと隠れてたら流石に気付かないのでは?
あとは、どこだろう。。考えろ、考えろ私!
そして私はある部屋に飛び込むことにした。
→私の部屋
→図書館の倉庫
→浴場
→空き部屋のクローゼット
→ジンさんの部屋
→クラヴィスさんの部屋
→リオの部屋
→ルークの部屋
→シュヴァリエ様の部屋