第1章 理想のペアと藍羽ルイと眞宮孝明
「落ち着いたら戻ってきな」
「すみません、すぐ戻ります。行くぞ、木手」
丸井は木手の背中に手を置き、外の空気を吸いに撮影場所から出ました。
理想のペアは外にあったベンチに座り、しばらく沈黙が続きますが、気まずい空気はなく、2人とも落ち着いた様子でいました。木手から口を開きます。
「すみません、オレが足を引っ張っていますね」
「そんなことねえ。さっきのセットの動きの揺れはオレだって酔いそうになったし、眞宮さんが止めに入って良かったよ」
「ええ、助かりました」
「木手が足を引っ張ったって言うなら、オレだってさっきの材料運びのとき、お前に助けられちまった。実はさ、オレ、力仕事がそんなに得意じゃねえんだ」
「丸井くん……」
「なっ、だから気にすんな。調子が出ないときってあるからさっ。しっかし、料理対決の内容にびっくりだったな。こっちは台本に書いてなかったからな」
「はい、オレもあまり作ったことがない料理分野でした」
「新しいことに挑戦か。そうそう、オレ、キミ様以外で応援している特別な人がいてさ、新しいことを始めたって前のラジオで言ってた」