第13章 library 菅原
高3の冬、もうすぐクリスマス
クリスマスが終わって年が変われば春高、浮き足立ってはいられないんだけど、彼女の1人もいりゃなぁ…なんて思う
縁下は夏に付き合い始めた歳下の彼女(田中の家でヤッてたっていう)と相変わらず順調そうで、羨ましい限り
あと…この前…俺、見ちゃったんだよね
月島が保健の先生と保健室であんな…
それからもう悶々とする毎日なわけよ!うわ〜保健の先生エロかったな〜…俺もヤりて〜!!いや、誰でもいいわけじゃないんだけど
はぁと溜息をついて図書室のドアを開ける
春高が終われば、次には入試が待ってる
バレーを言い訳にして、進路を疎かには出来ないから毎日昼休みは図書室で勉強するのが日課になっていた
勉強ってのも本当なんだけど、図書館に入り浸る理由は実はもう一つあって、いつもカウンターに座ってる図書委員の女の子がお気に入りだったりする
多分1年生だと思うけど、色が白くてサラサラ黒髪の知的な女の子
いつもカウンターの中で何か本を読みながら、時折貸出に訪れる生徒の対応をしている
そんで俺も読んだり読まなかったりする本を毎日1冊ずつ借りてみたりする
昼休み終了ギリギリ、他に生徒がいないのを見計らってカウンターに1冊の本を差し出す
ピッ
「では返却期限は来週の水曜日です」
少し高めの可愛い声
瞼を伏せた時の長い睫毛
今日こそ…
「あのさぁ、いつも本読んでるよね?何読んでるの?」
「あっ…えっと…源氏物語です」
「まさかの!」
「え、まさかでした?…あの…私国語の先生になりたくて、特に古典が好きで…」
初めて話した俺にどう説明すればいいのか分からないといった様子で慌てる彼女がまた可愛い
「へー!奇遇だね!俺も教師志望なんだ!でも古典は苦手だなぁ、教えてほしいくらい」
「そうなんですか?私が読んでるのは古文ですが口語訳の源氏物語もありますよ」
「そうなの?じゃあコレ借りるのやめて源氏物語借りてみよっかな?」
別に源氏物語に興味があったわけじゃないけど、気になる子の好きなものは知りたい
彼女の顔がパァっと明るくなり、走ってカウンターから飛び出して本を取りに行ってくれた
「とりあえず長いんで、まず3冊くらい。読めそうだったら続き借りてくださいね」
そう言ってニッコリ微笑んだ彼女
ヤベェ
気になる通り越したわ