• テキストサイズ

short PARADOXXX(ハイキュー)

第7章 strawberry 北


男性は下品な笑い声を上げる

あれはこの人の嫁さんか
ほんまに歳若い
俺より下かもしれん

「まぁ、今日からよろしくお願いします。俺はちょっと出かけてきますわ」

そう言うてどこかに出掛けて行った
こんな立派なイチゴ園遺してもろてんのに勿体ない

息子との話し声が聞こえたからか、母親がハウスの中から飛び出してきた。

「北さん、今回は無理言うてすいませんね。いやぁ…北さんの息子さんがこない男前やとは知らんかった、息子があんなんで恥ずかしいわ」

「いえ、俺なんか所帯も持ってへんし、立派な息子さんですよ」

「所帯言うても、あの子もあんなんでちっとも働かんし、嫁は嫁で無口で気味が悪いし、ここだけの話…

母親はトーンを落とす

「あの嫁、石女なんよ」

「え?」

「子供が産めん嫁ってこと、今で言うと不妊症て言うので病院通いしてるらしいわ。若いからてっきりポンポン産んでくれると思ったら、全然あかん。まぁこの話は置いといて、早速収穫手伝って貰うわ。」


ハウスの中に入るとさっきの嫁さんがいた
てか絶対会話聞こえてたやろ

「やり方はその歩に聞いてくれたらええから」

「はい…お願いします」

そう言うと彼女はペコっとお辞儀した

表情は全く変わらない

「うちは直売と農協の直売所の卸だけなんで、基本完熟になってから収穫します」

「はい」

「これぐらい赤くなってるやつの茎を上に捻るようにして下さい」

言われたようにやってみる

ポキッ

「ほんまや、うまいこと取れた」

「下に引っ張ったらあきませんよ」

「分かりました」

俺は単純作業とか丁寧な仕事とか得意やから、黙々とイチゴを収穫する。チラッと横目で歩さんを見る


!!


イチゴに向かってめちゃくちゃ愛おしそうな顔してる
さっき人間と喋ってた時は死んだ魚の目してたのに
そんで人形みたいで美人やとは思ってたけど、笑顔の方が百倍美人やった

あかん

あかん

なんであんな婿に…

あかん

あかん

俺は煩悩を振り払うようにイチゴの収穫に集中した


「北さん…もうそろそろパック詰め…え?

「なにか?」

「アハハハ」

彼女がとびきり眩しい笑顔で笑う

なんやなんや

「だって…今日来たとこで、もうそんな?!手早すぎでしょ。しかもちゃんと言うた通り赤いやつだけ丁寧に…」

/ 228ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp