第6章 Premier amour 国見×及川
及川さんの指示で部活が終わるまで橘さんに待つように言い、部室に呼び出した。
部活の間色んなことを考えた
及川さんあの子をどうするつもりだろう
みんなにバラして晒し者にするのか
眼鏡なかったら美人だったんだなぁ
いやいや俺をオカズにしてた腐女子
いやでも、さっきのノート
絵めちゃくちゃキレイだった
エロさは何もなくて授業中の何気ない姿や、試合中のユニフォーム姿、ただ美術のモデルとしてデッサンされているだけのような絵ばかりだった
いつ見ていたのか
特に試合中の横顔の絵は写真を切り取ったかのように躍動感があった
考え事をしていると、あっという間に部活は終わった
「岩ちゃん、今日は例の件で国見チャンと残るからよろしくね」
及川さんがそう言うと、岩泉さんはみんなをまとめて連れ帰った
「国見チャン、呼んできなよ」
俺は教室に橘さんを迎えに行って、部室に着くまで一言も話さなかった。
部室のドアを開ける
正面のベンチに及川さんが座っている
入ってすぐの地べたに橘さんは正座した
及川さんはニッコリ微笑むと
「お名前は?」
「あ…橘歩…です」
彼女は視線も上げずに答える
「歩チャン、いけないね〜俺たち迷惑してるんだよ?」
「ごめんなさい…本当にごめんなさい…死んでお詫びを…
「物騒だね〜死ぬなんてそんなこと、しなくていいよ!
…そんなことはね?」
及川さんの目が妖しく光る
「国見チャン、どうして作者が歩ちゃんだって分かったの?」
俺は手に持っていたノートを手渡す
パラパラとページを捲ると
「へ〜歩ちゃんは国見チャンが大好きなんだね〜及川さんちょっと悲しい」
橘さんは何も言わず俯いている
「歩ちゃん処女でしょう?」
彼女はパッと及川さんを見上げ、顔を赤くする
「へー意外と美人なんだ…あの漫画全部読んだけど、性的な描写が少ないってゆーか、ありきたりってゆーか、処女臭がするんだよね」
全部読んだのか…
「でね、いい提案があるんだけど、今からその処女貰ってあげる。俺たちをオカズにした罰だよ、でも悪い話じゃないと思うよ?だって男の味と本物のセックスを知ったらもっと良い作品が描けるはずだから」