第5章 touch 宮侑
俺ら兄弟の近所に住む橘家とは家族ぐるみの仲で
俺らは双子、向こうは三姉妹やった
三姉妹の長女歩とは同級生で、中学になってからは歩のオカンが
「いやーん、侑くんも治くんも背大きなって、エライ男前なったなぁ〜どっちか歩の婿さんに来たってな〜」
と会うたびに言うてきた。
俺は歩のことがずっと好きやったから、満更でもなかったし、多分治もそやったと思う。
タッチのたっちゃんかっちゃんが浅倉南を取り合うみたいに、どっちかが歩と付き合うんやろうって漠然と思ってた。
やのに
何でか知らんけど2年の春高が終わって、3年が引退っていう時に聞かされた事実。
「私、北先輩と付き合うてるんよ」
待って待って、意味わからん。
なんでそこで北さん?
話聞いてたら、俺らの応援に毎回来てた歩のこと、北さんが好きになって告白されたし付き合うって、何やねんそれ。
お前、俺らの応援きとったんちゃうんか。
「そーか、まぁ俺も、お前の婿養子から解放されてせいせいするわ」
「うん…てか春高の応援すごかったな。侑と治のファンめっちゃおって、アイドルみたいやったやん!よりどりみどりで羨ましいわ〜」
は?うざ
なんなんコイツ
てか何で俺の部屋にいるん?
ほんで2人きりで油断してるん?
はよ帰れや
「おう、いろんな女とやりまくるわ」
「何言うてんの!しょーもないこと言うてんと、侑もちゃんと好きな人見つけなあかんで」
何が好きな人見つけなあかんで、や
ほんまはよ帰れや
「いつ付き合うたんか知らんけど、もう北さんとエッチしたん?」
「なっ」
歩が真っ赤になって口ごもる
は?やっとるやん
頼むしはよ帰れや
そやないと俺
もう何するか分からん