第26章 Sacrifice リエーフ
研磨は次の駅で駅員さんにおじさんの身柄を引き渡した
私たちはいつもの駅で降りて、歩き始める
「研磨…部活は?」
「歩の様子がおかしかったから、帰ってきた」
誰のせいでおかしくなったと思ってるの
家の前まで帰ってきて気がついた
今日は金曜日
母親の帰りが遅いことを研磨は知っている
研磨に処女を奪われた日も、金曜日だった
昼間の光景がフラッシュバックする
また…あんな風に…
「じゃ、また月曜」
私の想像とは裏腹に、研磨はそう言って立ち去ろうとした
「ま、待って」
思わず呼び止める
研磨は振り向くと、首を傾げた
「どーしたの?」
「…いや…別に」
研磨は口籠る私の顔を覗き込むようにすると、優しく口付けた
「今日は疲れたよね、ゆっくり休みなよ」
そう言うと研磨は私の頭をぽんぽんと叩いて、去って行った
研磨には何度もキスされた
無理矢理いっぱい
でも今のキスは…
「ずるいよ」
今までで1番優しかった
昼間あんなに酷いコトされたのに
そのせいで痴漢にあったのに
それなのに私は…
気がついたら研磨に助けに来て欲しいと思ってた
そして…今、もしかして昼間の続きを期待していたの?
それからの私は、自分の気持ちがよく分からないまま悶々と日々を過ごすことになった
変わったのは…
研磨はあの日以降全く私を犯さなくなった
それどころか触れることも…
それ以外は普通で、一緒に帰ることもあった
まるで昔に戻ったみたいだった
でも私はもう知ってしまった
女の悦びを
もう…元には戻れない
研磨が私に手を出さなくなって数週間
触れてもらえないソコはアツく熱を帯び
欲しくてたまらなくて頭がどうにかなりそうだった
毎晩自分で慰めては物足りなくて、虚しい気持ちになった
私は研磨のことが好きなのか、それともただ抱かれたいだけなのかよく分からないけれど…
ある朝私はもう我慢の限界で、気付けば研磨の家の前に立っていた
インターホンを押すと、研磨のお母さんが出てきた
「あら、歩ちゃん、こんなに早くどうしたの?」
私たちは幼馴染だから、当然親も知っている
小さな頃から知っている私が、息子とこんなことしてるって知ったら…どう思うだろう