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short PARADOXXX(ハイキュー)

第25章 reward 赤葦


それは前作が打ち切りになって、そこから描きたいものを見つけた宇内先生らしい言葉だと思った

あるいは、小さな巨人と言われて春高で活躍したけれど、バレーボールを諦め漫画を描く道を見つけたことを指しているのかもしれない

無事に授賞式が終わり、アフターパーティーが始まる

アフターパーティーの間中、俺は宇内先生を連れて編集長や著名な先生たちに挨拶をして回っていた

会場内で橘さんを探すと、彼女は彼女で自分の担当の作家さんのために忙しく働き回っていた

彼女はいつもパンツスーツ姿だけど、今日は授賞式という華やかな場だということもあり、深いスリットの入ったタイトスカートを履いていて、一瞬目を奪われた

ダメだダメだ…今は仕事に集中しないと…

俺はタイトスカートを思考の片隅に追いやって、その日のスケジュールをなんとかやり遂げた


宇内先生をタクシーで送った頃には、かなり遅い時間になっていたけれど、やっておきたい仕事もあったし、会社に戻ることにした


今日は授賞式に出席していたスタッフも多かったし、多分誰もいないだろうと思ったのに

あれ?明かりがついてる



俺は淡い期待をして扉に手をかける

やっておきたい仕事があるなんて自分に言い聞かせていたけれど、本当は彼女なら会社に戻ってるんじゃないかって…思ったのは事実

だからカバンの中には冷たいミネラルウォーターが2本入っている


「お疲れ様です」

言いながら扉を開けると、奥のデスクにいた彼女と目が合う

「あか…あし君、お疲れ様…どうしたの?忘れ物?」

「いえ、仕事まだやっておきたいことがあって」

「へー、熱心だねぇ」

「橘さんこそ」

そう言いながらカバンから取り出したミネラルウォーターを、彼女のデスクに置いた

「さっすが赤葦くん、パーティーで結構飲まされたからさー」

と彼女はペットボトルの蓋を開けて、ゴクゴクとミネラルウォーターを飲む


彼女は誰も来ないと思っていたのだろう、上のジャケットを脱ぎ、ブラウス1枚に件のタイトスカートという出立ちだった

お酒を結構飲んでいたようで、頬や胸元は紅く火照っているように見える


「赤葦くん、宇内先生素晴らしかったね〜スピーチも!私感動しちゃった」
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