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短編集

第1章 呪術廻戦*狗巻棘 「盗人少年」


「恋バナのしようがなくね?」


沈黙に耐えかねた志弦が言った。


「よし、志弦。お前の初恋を語れ。」

「真希、申し訳ないけど私に初恋はまだ訪れていない。」


志弦は真剣な声音で言い、デザートとして買ってきていたひとくちサイズのチョコを口へ放り込んだ。


「マジか。先輩、それマジか。」

「マジだけど何か?」

「それはないわ。」

「野薔薇、私先輩な?敬語忘れてるぞ。」

「いやいや、先輩なのは十分承知済みです。でもそれはないわ。真希さんも何か言ってくださいよ。」

「志弦、それはないわ。初恋の自覚くらいしてほしかったな。」


真希と野薔薇はわかりやすくため息をついた。


「え、なんで私責められてる?てか、自覚も何もまだしてないんだって。」


志弦は拗ねてチョコをどんどん食べた。
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