第1章 呪術廻戦*狗巻棘 「盗人少年」
五条はその足で2年の教室へ向かう。
「お疲れサマンサー!!やぁ2人とも、元気ー?」
「悟、どうした?」
「今ね、棘のこと煽ってきたから。もしかしたらもうすぐ告白するかもよぉ?じゃ、僕これから出張だから。まったねー」
五条は例の如くひらひらと手を振って教室を出た。
「よかったな、これであいつらもくっつくぞ。悟にしてはいいことしたじゃん。」
パンダがそう言うと、真希に殴られた。
「バカ、今の志弦は棘のことが好きだとかそういう気持ちを自覚してねぇんだぞ?今告られても断る可能性大じゃねぇか。」
「確かに!」
「今から志弦に自覚を持たせる。それまで棘の告白は阻止するぞ。」
真希の言葉にパンダが「おー!」と言って拳を上げた瞬間、教室のドアが勢いよく開いた。
入ってきたのは棘だ。
「いくら!!た、高菜!ツナマヨ!明太子!すじこ!すじこ!!!」
「と、とりあえず落ち着け、棘。大丈夫大丈夫。志弦はそんなことで棘のことを嫌いになったりしないよ。」
「お、おか、おかか…」
棘はそんなのわかんないじゃん。とでも言うようにそう言った。
「大丈夫だ。たった数ヶ月しか知らない1年のやつらだって同じことを言うだろうよ。こちとら1年以上の付き合いだ。志弦のことはなんとなくわかってる。今更棘が焦ることねぇよ。」
「ツナマヨ?」
「あぁ、大丈夫だ。」
真希はそう言って棘を宥めつつ、作戦を練った。
どうしたら志弦は自覚をするのだろうか。
「よし、棘。今から志弦に告ってもOKしてもらえるようにするぞ。お前らも協力しろ」
「もちろんだ!」
「しゃけっ!」
こうして真希による『志弦に恋心を自覚させよう作戦』が実行されたのだ。