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短編集

第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」


それからも3人の旅は続いた。


「しづ、どうだ?」

「どうだって聞かれても。別に変わりないけど。」

「そうか。」



エドは少し遠くで資料を読んでいた志弦にそう声をかけた。返ってきた返事にエドとアルは顔を見合わせて微笑んだ。
最近は日を追うごとに志弦の敬語が取れていく。少しゲーム感覚で面白くなってきたところでもある。


「しづー!戻ってこい!」


エドに言われて本を片付けて戻ってきた志弦はニヤニヤしてる2人に疑問を持った。


「あの、どうしたんですか?」


また敬語に戻った志弦に2人はげんなりとした表情を浮かべた。


「本当、どうしたんですか。いろいろ怖いんだけど。」

「いや、別に。なんでもないから気にすんな。」

「気にすんなって言われる方が気になる!」


また敬語が外れたので2人はニヤニヤした。
志弦はなんなのか本当にわからず、もやもやした気持ちになったが、兄弟にしかわからない何かがあるのかもしれないと思ってそれ以上は聞かなかった。

そしてその後、3人はマスタング大佐がいる東方司令部へ向かった。


「3人とも、お疲れ様。しづ、この2人の護衛は疲れるだろ。」

「はい。2人とも無茶ばかりするので。もう1人くらい護衛が欲しいです。エドとアル1人ひとりに護衛つけたほうがいいと思います。」

「ほう、そうか。私からあの2人には言っておこう。」

「聞こえてますけど。」


志弦の後ろにいたエドがそう突っ込んだ。


「あぁ、いたのか鋼の。見えなかった。」

「だぁれがミジンコみたいに小さくて見えないだぁぁぁぁ!!!」


エドが大佐へ向かっていくのを志弦がエドの服のフードを引っ張って止めた。


「誰も小さいなんて言ってない!」


大佐はそんなやりとりを見て笑った。
先程も思ったが、志弦が人のことを愛称で呼んでいるのを初めて聞いたのだ。それに今も敬語ではなかった。
大佐の思惑通りになってきているらしい。


「3人とも疲れているだろう。報告はまた明日聞くとして、今日は休め。」


大佐のその言葉で志弦は自宅へ、エドとアルはホテルへ向かった。
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