第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
志弦が泣いたのと同時にアルが本を見つけて志弦の元へ戻ってきた。
「志弦さん、探してたのってこれ?って、どうしたの!?」
「違うんです。これはそういうんじゃなくて、ただエドワードさんが…」
アルはそれ以上何も言わずに志弦の背中をさすり続けた。
「おい、ってどうした?」
エドも志弦の突然の涙に戸惑いを隠せなかった。
「違うんです。悲しいとかじゃなくて、なんかよくわかんないけどエドワードさんの言葉聞いたら急に出てきて。ごめんなさい。」
「泣きたい時は泣け。いいから。ほら、大丈夫だから。」
エドは、しゃがんで泣いている志弦の前にしゃがんで顔を覗きながら優しく言った。
その優しさがさらに涙腺を緩ませた。
志弦が落ち着き始めたのでエドは気になっていたことを聞いてみた。今なら答えてくれるかもしれない。
「感情、ちゃんと出せるようになったのか?」
「え?なんでそれを。」
「あぁ、その、ヒューズ中佐に聞いた。」
「そうでしたか。ちゃんと出せるかどうかと聞かれると微妙なところだと思います。最初は意識して感情を表に出さないようにしていたのですが、今は意識はしてません。ですので、わかりません。」
「そっか。無理すんな。オレらはお前が普通に笑ったりできるようになるの待ってるから。」
「ありがとうございます。」