第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
「小幡っていう少尉の話ですが、国家錬金術師殿になんの関係が?」
「俺の指示であいつはここに来たんだよ。帰ってくるのが遅すぎるから探しに来た。どこにいる?」
エドは察していた。ヒューズが言っていた志弦をいじめていた奴らがこいつらだと。きっとここはマスタングの元に来る前にいた場所なのだろう。
「書庫に向かうと言ってました。ですが、行かないことをお勧めします。失礼します。」
そう答えると男たちは足早に去っていった。
「アル、書庫行くぞ。」
「うん。」
書庫に向かう間、エドは考えていた。
感情を押し殺すほど辛い思いをしたこの場所に1人で入ってくことの辛さ、苦しさ。そして勇気。
志弦はどんなことを考えてここに来ることを決めたのだろうか。
「兄さん、志弦さん大丈夫かな?」
「それを今から確かめに行くんだろ。早く行くぞ。」
エドとアルは足どりをどんどん早くした。
書庫に着く直前にはほぼ小走りになるほど。