第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
「おーい!志弦!」
その時、耳をすまさないと聞こえないほど小さい声が遠くから聞こえた。
エドの声だ。
「エドワードさん!?」
志弦は声のする方へ走った。
路地裏に入ると、鎧がボロボロで空っぽの中身が見えているアルと、機械鎧の右腕が無くなり、左足もほぼ動かない状態のエドがいた。
「ど、どうしたんですか?何があったんですか?」
「ちょっとしくじっただけ。」
「ちょっとしくじったって。私がどれだけ心配したと思ってるんですか。勝手に飛び出して行ってしまうし。」
志弦の顔は今まで見たことがないくらい辛そうに歪んでいた。
相当心配していることが表情から読み取れる。
「勝手に動いたのは悪かったよ。でも、賢者の石が手に入るところだったんだ。結局は偽物だったけど…」
「はぁ、」
エドが少し申し訳なさそうにしながらそう言うと、志弦はため息をついた。
「いいですか、今回の賊たちはずっとあのアジトにとどまっていたんです。急がなくてもよかったでしょう!?なのに勝手に飛び出して行って。本当に自己中にも程がある!あなたたちはまだ子供だけど、2人だけで旅をしているということはそれなりの責任があるの。私にも立場がある。これからは同じようなことがあった時は勝手な行動は控えるように!」
「「は、はい。」」
エドとアルは声を合わせて頷いた。