第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
泣いていて話ができる状態ではなかった女性を宥め、話を聞いた。
「この町には今、ある賊がいます。あいつらはよくわからない魔術と赤い石を使って私たちを脅すんです。だから外に出る人もいなくて。」
「なぁ、その魔術ってこんなの?」
エドはそう言って、パン!と手を合わせると自分の右腕の機械鎧を変形させた。
「そう!それです!!そんな感じの光が出てました。」
「これは錬金術だ。魔術なんかじゃねぇ。錬金術ってのは科学に基づいた学問なんだよ。その賊っての、赤い石を使ってたんだな?」
「は、はい。」
女性が頷くとエドはアルと頷きあい、賊の居場所を聞き出して走って行ってしまった。
「あ!2人とも、勝手な行動は困ります!!」
志弦も追いかけようと出口の方へ足を踏み出した。
「行かないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
が、女性が腰にしがみついてきて身動きが取れなくなってしまった。
「私を1人にしないでぇ!軍人さんが行っちゃったら誰かが通報したんだと勘違いされちゃうじゃないのぉぉぉ!!!」
「し、しかし、私の任務は彼らの護衛なので行かなければ。」
「そんなのいいから私を守ってよぉ!」
「いや、私の仕事ですので。」
「いやよぉぉ!」
どんなに頑張っても女性を引き剥がすことはできそうになかった。